須坂市の経済･文化を100年以上に渡って支え続ける支える「信州須坂老舗百年會」とは？ 【後編】

日本有数の製糸の町として栄えた須坂の町の歴史って？ この町で百年続く老舗が今に受け継ぐ想いとは？ 「信州須坂老舗百年會」の会長を務める糀屋本藤醸造舗の本藤さんにお話を伺いました。

（この記事は後編です。前編を読んでない方はコチラからご覧ください）

老舗を巡りながら町の歴史を紐解く

「地域の人が知らない老舗企業にも光を当てて、町を元気にしていきたい」という想いから平成25年に発足した「信州須坂老舗百年會」。現在、正会員に登録している百年企業は26社あり、もうすぐ創業百年を迎える準会員も3社あります。「人口5万人程度の町で、この老舗企業の数はとても多い」と、本藤会長も胸を張ります。

　味噌蔵に酒蔵、菓子店に呉服店、薬局など、業態を変えずに今も続く店舗がたくさん残る須坂の町。「老舗巡りをきっかけに、歴史を知ってもらえると嬉しいですね。町の象徴でもある“蔵”は、製糸業で栄えた時代に建てられたまゆ蔵。あちこちに散らばった歴史を探してまわるのも須坂散策の魅力です。堀家・須坂藩１万石の館町として栄えた歴史もあり、歴史好きの人もきっと楽しめることでしょう」。

　今もなお形を整えながら美しく残る老舗の町並みを眺めることで、時代を超えて須坂市の発展に心血を注いだ人々に思いを馳せよう。

須坂の発展に先祖代々から力を尽くす老舗企業にインタビュー【3】

清水 基弘さん
（株式会社二葉堂･8代目当主）

　町のお菓子屋として広く親しまれてきた二葉堂だが、その歴史は古く、江戸時代まで遡る。元は、須坂藩主･堀家御用達の菓子屋。明治期に現在の長野市に拠点を移したが、2006年に発祥の地である須坂の町に戻った。「『幸せを感じてもらえる菓子作り』という想いは創業以来変わりませんが、お客様の嗜好に合わせて少しずつ味を変えています」。たとえば、百年以上つくり続けているカステラは、基本的な作り方は同じでも、卵や砂糖の分量は時代と共に変化させている。「須坂にはブドウやリンゴなど素晴らしい食材がたくさんあるので、これからはお菓子を通じて土地の魅力を全国に発信していきたいですね」。地元産リンゴをバウムクーヘンでサンドした「りんご小径」は新たな長野土産として人気を博している。

須坂の発展に先祖代々から力を尽くす老舗企業にインタビュー【4】

山下 徹也さん
（有限会社山下薬局･13代目当主）

　須坂藩お抱えの薬種商として殿様の健康を守っていたほか、財政面でも藩を支えていたという老舗薬局。代々培った漢方薬の知識や技術を今に受け継ぎ、現在は須坂市で唯一漢方調剤ができる薬局として親しまれている。病名のつかない不調を改善できるのも漢方の魅力。漢方や薬膳の知識を応用したカレースパイスや須坂の伝統野菜を使ったゴボウ茶といったオリジナル商品も展開していて、近々、自家製ラー油キットの販売もスタートさせる。百年ほど前は、生活用品などの販売も行い、ドラッグストアの走りのようなこともしていたそう。「“我が身のほどを知れ”という社訓を守ってきたことが長く続けてこられた秘訣」と謙遜するが、時代の風を読む先見の明が300年という長い歴史を支えてきたに違いない。

信州須坂老舗百年會 加盟企業一覧
（令和2年10月現在）
［相談役］ テクノエクセル（株）
［相談役］（有）盛進堂製菓舗
［相談役］ マツナガ建設（株）
［相談役］（株）ニットー
［会　長］（有）糀屋本藤醸造舗
［副会長］（資）カミヤ長張商店
［副会長］（株）小妻屋本店
［会　計］（資）能登忠
［事務局］（株）関木工所
［事務局］ スミサカ電機（株）
［幹　事］（株）酒井商会
［幹　事］ 岩崎木材（株）
［幹　事］（株）二葉堂
［幹　事］（有）松風
［監　事］ キタザワ美容室
［監　事］ 綿幸（株）
［会　員］（有）塩屋醸造
［会　員］（株）遠藤酒造場
［会　員］ タンサン･ツチヤ
［会　員］ 土屋印店
［会　員］（有）ちょうちんや
［会　員］（株）綿幸本店
［会　員］（株）前田鉄工所
［会　員］（有）山下薬局
［会　員］（株）長印須坂青果市場
［会　員］ コモリ餅店
［準会員］（株）仙仁温泉岩の湯
［準会員］（有）丸源鋸工場
［準会員］ 廣田産業（株）