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シンプルだからこそ奥深い!『天然氷かき氷の世界』/「中町氷菓店」をフカボリ!

公開日:2020/08/20

日本の夏のスイーツの定番・かき氷。さまざまな可能性と進化を遂げつつ、専門店、カフェや甘味処だけでなく、最近はあらゆるところで楽しめるようになってきました。
時代を超え愛され続ける“かき氷の魅力”を探しに、「中町氷菓店」をフカボリ!

 夏の風物詩、かき氷。最近は夏でなくても食べられる店が増えてはきましたが、夏の暑い日に食べるかき氷のうまさは格別です。最近はどんどん新しいタイプが登場し、もはやブームというより、文化として定着しつつあるかき氷。
そんなかき氷界の中でも、突出した人気を誇る「中町氷菓店」。シーズン中は行列ができるほど人気の同店の魅力を探っていきます。

「中町氷菓店」削り師の白澤さん(右)、亀田さん(左)


 かき氷にはいろいろある。ソースやトッピングに工夫をこらした、いわゆる“グルメ系かき氷”。そして、素材や伝統にこだわった“トラディショナル系かき氷”。同店は後者のタイプで、とにかく素材、特に氷に対して確固たるこだわりを持っています。

 店頭でも大きくうたっている“天然氷”という文字。製氷機で作った氷、濾過した水で作った氷(純氷)、そして自然の寒さの中で作られた氷(天然氷)。同じ氷でも工程、味は全然違います。

だいたいは製氷機、純氷を使う店もあるが、それもまだまだ少ない。ましてや天然氷をうたっている店は、県内では片手で数えられるほど。
「それだけ手に入りにくいんです。天然氷って作るのが本当に大変なんですよ。山梨県の山奥で、3日間寝ないで作業を手伝ったこともありました」と、オーナー永野さん。

この店で扱っているのは「蔵元八義」の天然氷。製氷機の氷は通常4時間、「八義」の天然氷はその100倍、なんと約400時間かけて作られ
るという。
「天然氷のかき氷、食べたことあります?はじめて食べたとき、皆さん驚くんですよ。その感動をより多くの皆さんに味わってほしいと思ってこの店をはじめました」(永野さん)。
 八ヶ岳南麓の天然水を400時間かけてゆっくり凍らせた氷の硬さは尋常じゃない。それゆえ扱い方も慎重。
氷を削る刃は北海道の専門の研師にお願いした特注品。そのうえ、削り師が微調整しながら削っていかないと、あの羽のようなふわふわ食感は出ないという。

「地元産の果実をオーダー後に果汁にしたり、抹茶は京都の名品を取
り寄せるなど、シロップ作りも大事にしていますが、あくまで氷が主役です。天然氷のおいしさを、皆さんに知ってもらいたい。そして昔からある日本の伝統であるかき氷を次世代に紡いでいきたい。大袈裟かもしれませんが、それが僕たちの使命だと思っています」(永野さん)。

自家製シロップに使う果物は地元の契約農家から仕入れます。

「味は変わらないのに見た目で売り物にならないものが、うちでシロップとして生まれ変わります」(永野さん)。生産者さんにとってもお店にとっても、お客さんにとってもうれしい需要と供給。

雪が積もると不純物が混じるので、雪が降ったらひたすら雪かき。「途中で雨が降ったらすべてが台無し。最近は暖冬の影響もあり、ますます希少価値が高くなっています」(永野さん)



 職人が気の遠くなる時間と労力をかけじっくり凍らせた氷が、一瞬で消えてしまう儚さもまた魅力のひとつ。奇しくもこの記事を掲載する「長野Komachi」9月号の発売日である7月25日は、かき氷の日です。この運命とも言えるべく偶然を愉しみつつ、天然氷を心ゆくまで味わいたい。
(長野Komachi2020年9月号より)

「中町氷菓店」
全国8店舗、県内は3店舗で天然氷のかき氷を提供。今季の営業は9月末まで。 ※営業中はマスク、手袋を着用し、感染症対策を行っています

【長野県】
松本中町通り本店(松本市)・大王わさび農場店(安曇野市)・長野店(長野市)の詳細やメニューはこちら!

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