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臥雲義尚 松本市長 インタビュー

公開日:2020/07/23

こんなに明るい!
変わりゆく

松本の近未来

新型コロナウイルスの影響下、松本市長に就任して3カ月。松本の暮らしや楽しみ方はこれからどう変わっていくのか、新市長の臥雲義尚さんに、松本の今と近未来について聞きました。

・・・・

かつて松本城の南側と西側にあった外堀の復元をめざしています。歴史と文化が感じられる、松本の「セントラルパーク」を整備したいですね

コロナ禍でピンチ。
業種を超えた動きをバックアップ

 臥雲さんが松本市長に就任したのは、コロナ禍真っ只中の3月28日。全国的に外出自粛が続き、松本の飲食店も苦境に立たされていた中で、創意工夫あるさまざまな取り組みが目を引いた。テイクアウトを行う店を取りまとめてサイトで紹介する「城町バルTOGO」、タクシーが飲食店からメニューを届ける「タクシーデリバリー」、「グルタク」、ドライブスルー形式で料理を提供する「テイクアウトマルシェ」、自粛期間後に利用できる食事券をオンラインで販売する「マツモトノミライチケット」など…。他エリアと比べて動きもスピーディだったように感じるが、その理由とは?
 「松本には個人店がたくさんあり、20~30代の若い店主たちを中心に、彼らがふだんから繋がり合っていたことで、こうした場面でいち早く動けたのでしょう」と臥雲市長。「テイクアウトマルシェを立ち上げたのは『りんご音楽祭』を主催する方。松本を元気づけたい、応援したいという有志の方たちが集まって、業種を超えて取り組んでくれました。市としても、ドライブスルーの販売場所として松本市総合体育館や松本城西側の駐車場を開放するなど、バックアップを行いました」。
 テイクアウトやデリバリーといった販路開拓に取り組む事業者には、市から補助金も支給された。先が読めない中、そんな支援も心強い支えになったことだろう。

松本の街路が
パリ・サンジェルマンに?

 コロナ感染は長野県内では落ち着いたように見えるものの、特効薬やワクチンができない限り、終息はない。
 「コロナの薬ができたとしても、また新しい別のウイルスが蔓延することも十分考えられる。今の新しい日常が常識になっていくでしょうし、インフラも早く整備しなくてはなりませんね」と臥雲市長は言う。依然として三密は避けなくてはならない今、安心してまた松本に行きたくなるような取り組みはあるのだろうか。
 「街路をコミニュニティ空間にする計画を進めたいと思っています。国交省の規制緩和で、路上利用の占用許可基準が緩和されたことにより、店から歩道に迫り出して飲食を提供することが可能になったのです。大名町、本町、伊勢町、パルコ通りなどにオープンテラスの店が増えるかもしれませんよ」。
 開放感あふれるオープンカフェが立ち並ぶ東京・表参道やパリの素敵な風景が、松本市街で見られる日も近い!?

松本城と北アルプスを望む
新ビュースポットとは!?

 リモートワークをはじめ、オンライン化も加速している昨今。市役所でも各種申請がしやすくなったりしているのだろうか?
 「正直、オンラインに関して松本は遅れています。庁舎も古いため、人とお金を注ぎ込んで、早急にデジタル化を実現させていかなくてはと思っています」。
 庁舎については、建て替えや移転が検討されていているところ。本庁の規模や機能をスリム化し、地域づくりセンターの機能を強化することで、住民にとってより身近に、便利に利用できるようになるという。
 「実は本庁舎があるこの場所は、松本城と北アルプスが眺められる絶好のビューポイントなんです。それを独占しておいてはもったいないと、建て替えを機に、ぜひビュースポットとして市民や観光で訪れた方に楽しんでもらえないかと考えています。さらに、松本城のお堀の復元計画も進行中です」。
 10~20年後、水をたたえた明治時代の外堀の姿が復元されれば、世界的な歴史観光スポットとして、いっそう注目が集まるはず。

離れて暮ら。

離れて暮らす家族と「オンラインファミリー飲み会」やりました。結構盛り上がりましたが、2回目からはどうかな(笑)。この期間を経て、楽しみ方の幅は広がりましたよね。

今、求められるのは
〝適疎(てきそ)〟なまち

 NHK時代に知り合ったコミュニティデザイナー・山崎亮さんが提唱する「適疎」という言葉に共鳴を受けたという臥雲市長。適疎とは、過疎や過密ではない、「適切に疎」である状態のこと。
 「先日、妻が住んでいる川崎に数カ月ぶりに行き、東京の友人たちとも会ったのですが、都会に息苦しさを感じたんです。これまで地方は人口減少が問題で、人が密集する都会の方が魅力的、人を惹きつけるという側面があったのが、今は人が適切な距離感でいないと生きづらいと感じるようになりました。東京に対して、松本の市街地はまさに『適疎』で、清涼感ある空気、自然、水があります。これまで以上にこうした環境を求める人が増えてくるのではないでしょうか」。
 さらに松本には、アルプスや美ヶ原、乗鞍、上高地といった、世界に誇れる山岳観光エリアもある。「適疎」+αの価値が高まっていきそうだ。

お殿さまが参勤交代で訪れた
宿場町・四賀がアツい

 最後に、臥雲市長が今注目する松本市内のスポットとは?
 「15年前に松本市に編入した四賀地区は、ここ(市庁舎)から北東に車で30分ほど行ったところにあり、松本の市街地とも山岳高原エリアとも違う、ユニークな場所です。明治に鉄道ができるまでは宿場町で、その風情も残っています。都市部からのIターンも増えているんですよ。かつて松本藩のお殿さまが休んだという由緒ある建物を再生した、ラグジュアリーな宿『本陣小澤家』もこの夏オープンします」。
 近くには、看板のない隠れ家のようなレストランや古民家カフェなども点在。密を避けて、のどかな里山にぜひ足を伸ばしてみたい!

Interview Keyword ① 
市政への意気込みを!

#静から動へ

臥雲市長のキャッチフレーズ。新型コロナウイルスの影響で足踏み状態だったが、ようやく動き始めるとき。コロナと向き合い、新しいライフスタイルへ。「躍動感のある町に変わっていこう!」

Interview Keyword ② 
松本山雅FCにひとこと!

#山雅チャント

大人も子どもも「山雅チャント」で盛り上がろう!アルウィンで体を動かせば、松本愛とプライドを感じるはず。将来は総合スポーツクラブ「バルセロナ」のように、サッカーの枠を超えた存在をめざして。

Interview Keyword ③ 
おすすめ映えスポットは?

#アルプス公園

市長おすすめの場所は、市街地から車で10分ほどの「アルプス公園」。高台に位置し、眺望も抜群。さまざまな広場やローラーすべり台、小さな動物園まであり、お金をかけずに1日遊べる。「全国区になってもおかしくないスポット」。

Profile
松本市長 臥雲義尚(がうんよしなお)さん
1963年、松本市伊勢町生まれ。東京大学法学部卒業後、NHK政治部記者、解説委員を務める。2016年に松本市長選に立候補するも、次点で落選。その後4年間は、松本で新しいことに挑戦するキーパーソンと語り合う「ジセダイトーク」を30回ほど開催し、人脈と知見を広げる。2020年3月、戦後10人目の松本市長に就任。

  

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