「塩の道に咲く新しき道」（NAGANO・ながの／小谷村）食いしんぼう塚田兼司のこれが旨い！

信州ラーメン界のカリスマであり美食家としても名を馳せる塚田兼司が愛して止まない料理を毎月紹介。
今回は、小谷村の豊かな自然に抱かれた話題の新店が提供する至高の焼鮭定食が登場！

その昔、憎き宿敵の窮地に、この道を使って敵に塩を送った義の漢がいた。その侠気あふれる街道に、NAGANOという名の一輪の食の花が咲いたという。
乾燥と入念な火入れで、パリパリに焼き上げた皮目を纏った厚切りの銀鮭。身はしっとりとした旨味と脂で、皮の食感とマリアージュ。さらにご飯を頬張ると、旨味と甘味を最大限まで極めた炊き立ての銀シャリが鮭の旨味を纏い、せめぎ合って至福の時を迎える…。
コレはヤバイ。昂る気持ちを抑えるよう、豚汁に手を伸ばしひと啜りした瞬間、脳裏に呼び起こされる海原から信濃の国へと駆け上がる小谷の風景。羅臼昆布、鰹節、味噌、豚肉…食材たちが生み出す心地良さに、思わず目を閉じ天を仰いでしまった。
付け合わせの鱒子の黄金いくら、塩丸イカとお野菜の柚子酢味噌和え、塩漬け山菜と牛肉の煮物、小谷漬とトマトのおひたしといった信州の郷土食たちまでも、華やかに仕立てられ、まるで信濃路の傍に咲く花々のよう。
それはまさに小さなお膳の中に描かれた、塩の道のおいしい物語でありました。

塚田’sポイント
3,000円のランチも魅力的ですが、やはり夜の20,000円のコースが、異彩を放つシェフの真髄と、小谷村の魅力を存分に味わえる最高の手段であることは疑う余地がありません。昼のランチに感動した方は、夜のコースもぜひ！

NAGANO／ながの
小谷村との古民家再生事業によって誕生した、東京で人気の一つ星レストラン「sio」の姉妹店。
雄大な自然に囲まれた日本家屋で、長野県由来の食材や、郷土料理に着想を得た滋味を、優れた業で紡いだ一皿として味わうことができる。

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https://www.deli-koma.com/1025192.html

食いしんぼう塚田兼司のこれが旨い！
月刊Komachiにて連載中。
県内外に数多くの人気ラーメン店を展開する「ボンドオブハーツ」グループの代表。
全国各地のおいしいものを食べ歩き、有名シェフや美食評論家との交流も深い。
信州のおいしいを発掘･発見するべく、止まらない食欲をエネルギーに、食べ歩きの日々は続く…。