11/11(月)リニューアルオープン!さつまいもスイーツ店「おいも日和 松本中町店」が揚げたて芋けんぴ専門店へ。揚げたて5時間以内のカリポリ食感、蜜たっぷりの芋ケンピを味わって@松本市
設計だけでなく家づくりの基本から相談できるのが建築士。「設計事務所はハードルが高い…」と感じている方に贈る、リレー形式の対談企画です。第2回目の今回は、前回聞き手役をお願いした住まい工房の清水ご夫妻を話し手役にお呼びし、聞き手役を、勝野建築事務所の勝野さんにお願いしました。
清水 宏さん・眞里子さん |住まい考房
夫婦ともに長野県出身。1997年に「住まい考房」を共同設立。“日本の美しい住まいや暮らし”を見つめながら、個人住宅や商業施設の設計、古民家再生、リノベーションなどを手掛ける
勝野 大樹さん |勝野建築事務所
長野県出身。明治大学大学院理工学研究学科博士前期課程修了。入江経一+Power Unit Studioや長野県内設計事務所に勤務後、信州大学大学院の研究科修了。2018年「勝野建築事務所」設立
Q1 設計事務所に設計を依頼するメリットは?
勝野さん:清水さんはどちらかというと、新築というより、リフォームやリノベーションが多いから、建築士としても特殊な感じがありますよね。
清水さん:独立する前に、松本市の「降幡建築設計事務所」に11年間ほどいました。そこは古民家再生などを得意とする事務所だったので、独立後も全体の7割くらいがリフォームやリノベーションの設計に
なっています。
勝野さん:その視点から、設計事務所を利用するメリットはどう考えてますか?
清水さん:古民家をやり始めた時に、建て主から「この家、価値はあるのでしょうか?」と半信半疑で聞かれることが多かったんです。工務店や大工に頼むと、「壊して新築を建てましょう」と言われてしまったようで。でも建て主には、「残したい」という想いと「生活を変えたい」という想いがある。そういった要望を汲み取って形にできるのが、私たち建築士だと思います。
勝野さん:ただ一方で、建築士を見極める必要もありますよね。
清水さん:そうそう。あるものを活かして新しい創造に結び付けていくためには、ある程度の経験値が必要。当然、そういった設計が好きではない人もいますから。
Q2 建築士に頼むとコストは高い?
清水さん:基本的に、予算を伺ってから適切な予算配分を行うので、費用が闇雲に高くなることはありません。建て主が目指している生活を実現するための設計を考えるときに、建築空間としての表現方法や施工方法は色々とあります。それらをうまく組み合わせて、だいたいの総予算の中でコストパフォーマンスが一番良いように考えています。
勝野さん:「とにかく安ければいい」という建て主だと夢がしぼんでしまって、うまくいかなくなることが多いですよね。お金以外の動機がないと成立しないなと感じています。
清水さん:私たちに依頼してくる人は「生活の質を上げたい」など求めているものがある人になりますよね。想いはあるけれど予算が限られている。そんな人にはぜひ、建築士にご依頼いただきたいです。
Q3 清水さんの設計する住宅の特徴は?
清水さん:新築でも古民家でも、地域の歴史と風土に根ざし、伝統とモダンが融合した住宅の設計を心掛けています。ちなみにうちの自宅兼事務所も新築なんですけど、柱を塗装して古材風に見せたり、椅
子に松本民芸家具を使ったりしているのがこだわりです。
勝野さん:新築だけどアンティーク風、という感じですね。建築士でも、こういう設計をしている人は少ない気がします。
清水さん:あとは、日本固有の資源である「木」を使い、日本の職人の技を活かした住宅、暮らしの質を向上させるための仕掛けをもつ住宅といったところでしょうか。
清水さん:あと、牧田さんの家には遊び心があるなと感じます。
Q4 設計の際、心がけていることは?
清水さん:一番はやはり、建て主の夢や希望を最大限に汲み取ることです。
勝野さん:清水さんはとくに、建て主の要望を聞いてらっしゃる印象があります。
清水さん:ノーとは言わないですから(笑)。自分の考えが至らなかった場合は、素直に建て主さんの要望に合わせますし、こちらから提案をする際も、時間をかけて納得してもらえるように説明していま
す。ただ、とくに古い家の場合は、ファミリーヒストリーをお話されることも多いので大変です。ある建て主さんのときには、朝10時にお伺いして、夕飯までいただいて帰ったことがあります。
勝野さん:それはすごいですね!(笑)
清水さん:仕事を進める上で一番大事なのは、信頼関係。「この建築士なら、私たちの想いと異なる設計は、絶対にやらない」と思ってもらえるかどうかが肝ですね。
Q5 住宅を構成する要素の中で最も重要なものは?
清水さん:見ためはやはり、美しいほうがいいですよね。室内空間の繋がり方や外観の美しさ、周囲環境との調和も意識しています。また常に考えてるのは、建て主にとって、今までの生活から一段アップした生活が送れるような建築にしたいということ。なので造り付けの家具を取り入れたり、モノが部屋に散乱しないよう収納を工夫したりしています。
勝野さん:美しさを出すために、どのような設計をしているのでしょうか。
清水さん:バランスのいいプロポーションの建物を作るためには、寸法が本当に大事です。たとえば和風建築なら、障子の組子の大きさや和室の柱と柱の間隔など、美しく見せるためのベストな寸法があります。そういった伝統的な手法については、独立前に所属していた事務所で身に着けることができたのかなと思います。
Q6 清水さんの考える”ナガノらしい家”とは?
清水さん:他地域の住宅と比べてみると分かるんですけど、信州人の好みってあっさりしてるんですよね。高山の住宅は出桁や彫り物があったりするし、富山の住宅は何段もの小屋組の三角屋根があったり
する。長野の人は、素朴でシンプルなものが好きなんじゃないかと思います。
勝野さん:言われてみれば、そんな気がしてきました。古民家を通して全国の住宅建築を見ている清水さんだからこそ、気づけることなんでしょうね。
清水さん:もうひとつは、長野県は森林が多いので、できるだけ身近にある木材を活かすのが、長野らしい家なのではと。昔から大量に植林した唐松をどうするかが課題です。建材として使うにはコストがかかりすぎてしまうのが現状。林業の抜本的な改革が必要だと思っています。
【 清水さんが手掛けた住まいチラ見せ! 】
>>第1回【建築士と考えるナガノの家】牧田 繁さん × 清水 宏さん・眞里子さん
●住所
塩尻市大門7-14-18
●TEL
0263-53-8388
●定休日
不定休
●URL
https://www.go.tvm.ne.jp/~sumaikobo/index.html
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